東光醸造元小嶋総本店のカーボン・ニュートラル×スマート農業で実現する、循環型の酒造り

 小嶋総本店は地球温暖化に関わるとされる温室効果ガスである二酸化炭素を出さない酒造り(カーボン・ニュートラル)、そして、農業人口の減少や少子高齢化などの社会問題を背景に、ロボット技術やICTを活用した自然と人にやさしい農業(スマート農業)の2軸の取り組みで、「持続可能な酒造り」に取り組む造り酒屋です。

今回はその背景と取り組み内容を皆様へご紹介させていただきます。

副産物である酒粕を発電に活用、循環型エネルギーで二酸化炭素排出量実質ゼロの自然にやさしい酒造り

 当社は、日本酒を製造する過程で出る「酒粕」を地元である山形県内(飯豊町)のバイオガス発電所で再生可能エネルギーに転換し、循環型エネルギーで酒造りを行っています。酒粕は、食品や肥料としての活用方法はあるものの使用先が減少傾向にあり、廃棄する酒蔵も少なくありません。そんな中でも、この取り組みを通して、日本の酒蔵で、自社の酒粕を活用する単一発電所の電力で酒造りができるのは当社のみです。

 

地域再エネ電力への展開

 当社はこの発電所の再生可能電力を地域内循環させる当事者でもあります。当社は2021年より酒粕を発電原料としていましたが、当時のバイオガス発電所は固定買取制度で売電するのみで、エネルギーが域内循環していませんでした。そこで当社を含む地域企業で出資して置賜地域初の地元電力小売を設立し、電力を域内消費する循環サイクルを構築しました。当社は自身が地域内循環を実現した第1号の企業でもあり、当社の事例をきっかけとして地域内で地産電力の消費が広がり始めています。

ソーラーパネルとモーターで動くアイガモロボによって有機農業に挑戦、水田の生物多様性を守りながら温室効果ガスのメタンガスを抑制

 当社は2022年より太陽光パネルとモーターで動く自動抑草ロボット「アイガモロボ」を使った酒米の有機栽培実験を開始し、そこから栽培された農薬不使用米を使用した日本酒も発売しています。アイガモロボにより除草回数を半減させる効果が確認されており、労働集約性を軽減しつつ、水田の生物多様性に寄与します。さらに、アイガモロボは水田から発生するメタンガスを半減する効果が報告されています。

202310月には、初年度に栽培した米を使用し、当社としては初めての農薬不使用米使用商品『東光 純米大吟醸 アイガモロボ農法』を発売しました。

2軸の取り組みで造る日本酒・東光は世界約20カ国以上に輸出

 当社は2023年に二酸化炭素排出量実質ゼロ(カーボン・ニュートラル)を達成するまでにも、自然と共生した酒造りに対して取り組みを深めてきました。特に20カ国に輸出する中で、日本以上に環境意識が高い国でその取り組みが認められ、近年、市場平均以上の輸出成長率を記録しています。2023年にイギリスの業界紙によるグリーンアワードを受賞して以降はさらに引き合いが増え、特に環境意識が高いヨーロッパにおいて新規輸出希望をいただいています。

東光醸造元・小嶋総本店、今後の展開

 当社は最終製品を造る伝統産業のメーカーという立場に留まらず、地域内エネルギー循環や人と自然にやさしいスマート農業といった産業循環全体にアプローチし、それらの成果物を世界に発信するために日々、挑戦を続けています。

 サステナビリティ活動から生まれた商品

『東光 with green』
東光の「自然に共生する酒造り」を象徴。
当蔵は自然と共生した酒造りを目指しCO2の実質ゼロ化を達成しました。酒かすを活用した自然に優しいエネルギーで造った純米酒で、お米をあまり磨かずともなめらかでバランスの取れた味わいです。ラベル紙は食用に適さない古米を、インクはベジタブルインクを使用しています。

『東光 純米大吟醸アイガモロボ農法』
アイガモロボ®農法とは、太陽光パネルで動く自動抑草ロボットを用いた農法です。農薬不使用栽培における除草作業の軽減を目指しています。本製品では、このアイガモロボ農法で栽培した農薬不使用米を使用して醸した純米大吟醸酒です。

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